2012年4月30日月曜日

LUSH LIFE


   
「陽気なJAZZを聴きながら」

 京阪出町柳駅で鴨川を背にすると、「LUSH LIFE」の看板が目にとまる。カウンター10席だけの店内には、ジャズが流れている。壁にはレコードが並べられており、1000枚ほどあるという。店長の荒木哲也さん(64)は、18歳から46年間ジャズ喫茶店一筋の人だ。出町柳のLUSH LIFEは、1988年に奥さんと開いた。


   荒木さんは、「曲名なんて知らへん。内容が良ければ」と店内に流れているジャズを口ずさみながら、ゆっくりとドリップにお湯を注ぐ。その姿はまるで、隠し味に音符を入れているよう。コーヒー(400)が入ると、カウンター席に座っていたジャズプレイヤーで黒縁めがねの男性は、音に耳を傾けながら飲んでいる。

今まで、ジャズというと陽の当らない地下の部屋などで聞いて、ボンボンと鳴り響く暗いイメージを持っていた。でもこの店で聞くジャズは陽気だ。マッキントッシュの真空管アンプ、樹木に書かれたメニュー、カウンターに出没する招き猫、窓から注がれる優しげな日射し、べっぴんさんな奥さんの笑顔……。そんな演出が重なって、思わず音と一緒にリズムをとってしまう。

 11年前からアメリカのジャズ・ピアニストのランディ・ウェストン(86)を招いて、上賀茂神社でのライブを行っている。今年は4回目むかえ、101314日午後6時から開かれる。


京都市左京区田中下柳町20
午後0:00~午前0:00
(土曜日のみPM10時閉店)
火曜日定休日
075-781-0199











2012年4月28日土曜日

御多福珈琲

「カウンター席に福」
 
「わたしゃお多福、御室の桜、花(鼻)が低くても人が好く」と歌われた京都の仁和寺に咲く御室桜のように、「誰が来ても親しんでもらえるお店を」という思いが込められた「御多福珈琲」。阪急四条河原町から西へ歩いて5分ほどで、藤井大丸の手前にある。


店長の野田敦司(39)さんは、ルパン3世のようなモミアゲの持ち主。席に座りしばらくすると、その力強い髪型と優しげな眼差しとのギャップに気がつく。12年前、毎月15日に開かれる知恩寺の手作り市でコーヒーの屋台を始め、8年前に御多福を開いた。和歌山県出身の野田さんは、小さな頃から、お父さんに連れられて喫茶店に通い、ミキサーでミックスジュースを作るマスターの姿がかっこいいと幼心に思っていたという。週3回、西陣の焙煎所で豆を仕入れている。野田さんが少しかがんで、円を書くようにころ合いを見計らってお湯を注ぐと、ペーパードリップの豆がうず状にぷっくらと膨らむ。その姿はまるで豆と対話しているようだ。

 
「当店自慢のブレンドコーヒーでございまーす」。コーヒー一杯400円。お湯を注ぐ時の丁寧な姿勢のように、お客さんに話しかける野田さん。カウンター5席が埋まっても、まるで聖徳太子のように一人一人の言葉を拾い膨らまして返す野田さんのトークは、喫茶店の空間を和ませている。









京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町609 コロナビルB1

075-256-6788
午前10:00~午後10:00
毎月15日休