2012年9月23日日曜日

エミール・パコ

 

「山小屋の灯」

 地下鉄扇町駅から西へ歩いて10分ほどのところに、森のなかの小さな山小屋風の建物がひっそりと建っている。「エミール・パコ」というネオンに誘われるように中に入ると、薄暗いなかで灯るランプが温かい。

店長の山崎好三さん(56)は、サラリーマンを辞めて、昭和53年にお兄さんとエミール・パコを創業。「店名は、『パンとコーヒー』からつけました。『パコ』の前に何かつけなあかんと思って、『エミール』をつけただけ」と、強面の顔が一変し穏やかに笑う。山歩きが好きで、中部地方の山はほとんど登ったという。壁は丸太で出来ており、入口のドアの上には「エミール・山荘」という木彫りの看板も。10席ほどのカウンター席の上には、コーヒーカップが列をなしてぶらさがり、いまにも「ブランブラン」という音が聞こえてきそう。食器を集めるのも好きという山崎さんは、120ほどあるカップのなかから、その時の気分で選んで、お客さんに出しているという。



 


小さなテーブル席で友人と話していると、「エミール・パコ」という電車に乗って、少しの間、現実から離れた旅をしているような気分になる。あっという間に時が過ぎてしまうほど、居心地が良い。

 山崎さんは、「店は僕にとって、仕事でもあり、遊びでもありますね。好きなことをしているから幸せです」と可愛らしい顔で笑った。
 

 
大阪市北区神山町10-3

06-6311-8220

午前10時~午後9時   日・祝日休み



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